お便り
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2024.11. 4 育陶園のこと
10月末、私たちにとって区切りである決算の日です。
いつも走り続けて振り返る暇もなかなかありませんが、この時期はやっぱり一年の色々を総棚卸しします。
今年の取組として大きく前進した事の一つ。
それは新しい技術を活用したモノづくりだったかなと思っています。
CADを活用し、イメージした形を3Dプリンタを使って出し、それを元に"型"をつくる。
10年前なら全くイメージも、理解もできませんでしたが、焼物のさまざまな技術や表現を深めていく中で、なんとここに辿り着くことになりました。
と言ってもほんの一部の活用ですが、これまで何ヶ月もかかっていた型を使った新しい作品の試作の時間が、かなり半減される事になり、そのおかげでかなり精度高く、納得できるモノのが生み出す事ができるようになってきました。
近年は、私がこのやちむんに関わりはじめた20年の中で1番早いスピードで様々な物事が変化してきており、私たち手仕事のこれまでのやり方が通用するのか、とても不安になる事が多々あります。
高騰する原材料、そしてこれまで経験したことのない上昇率の最低賃金。
これらは全て、原価に反映されるのでこの上昇率とともに価格に跳ね返ってきます。
今まではゆるやかな値上げでしたが、そのスピードや上昇がどのくらいになるのか、やっていかないと答えが見えない部分もあります。
世の中全体の物価があがり、賃金が上がるから、値上げしてもしょうがないよ。
と、周りに言われても、やはりどのタイミングで変えていくべきなのかなど、すごく判断が難しいなと感じています。
けれども待った無しにどんどん波が押し寄せてくるので、波に飲まれてしまわないように、私たちのビジョンである、「壺屋の景色をつなぐ」を胸に、ブレずに進んでいくしかないなと思っています。
壺屋のこの土地で、10年後も、20年後も、その先もずっと、変わらず職人の手仕事で、やちむんを作り続けていく。
その景色をつないでいきたい。
そんな事を思いながら、様々な技術や感性、そして時にはある程度の効率化(重労働の軽減)を行いながら。
自分たちの目指す壺屋焼らしさってなんだろうと、常に考え続けながら、作り続けたいなと思っています。
ともあれ今年もとてもよく頑張った成長の年。
去年の飛躍がたまたまじゃなかったと、少し自信が持てました。
また明日から365日の1日目を積み重ねていきますが、未来へつないでいけるよう、生き残っていけるよう、止まることなく進んでいきたいと思います。
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私たちのこの新しい取組が、明日のNHKの14:00〜15:00の列島ニュース、全国放送の中の旅番組の中で、7〜8分程度ですが紹介されます。
どんなふうに映るのかドキドキしつつも、今のこれらの取組の一つが、未来につながる一歩と信じて、自分たちがしっかり納得できる、素敵だな、使ってみたいな、飾ってみたいなと思ってもらえるようなものづくりを、これからも真摯に行なっていきます☺️
代表、若菜
「備忘録」は育陶園の社長・若菜による、社内の事や子育てや沖縄の暮らしの日々を綴った記録です。